世界遺産を追う〜ライン下りの魅力〜
父なるライン
ドイツ語で「川」は der Fluß (デァ・フルース) となり、男性名詞です。
一方で川の固有名詞は必ずしも男性名詞とは限らないのですが・・・
ライン川は der Rhein (デァ・ライン) と男性名詞なのです。ドイツでは、「父なるライン」と言われ、ドイツ二大河川のもう一つ、ドナウ川と対になっています。ドナウ川は die Donau (ディー・ドナウ) で、「母なるドナウ」。
その父なるライン川は、スイスのトーマ湖に端を発し、ボーデン湖からドイツに入ります。そこからずっとドイツ西部を北上し、最後はオランダのロッテルダムから北海に注ぐ、実に全長1233mの川。そのうち半分強がドイツ内ですね。
世界文化遺産「ライン渓谷中流上部」とは?
「ライン渓谷中流上部」と言えば、世界文化遺産としてその素晴らしい文化的景観や、お馴染み「ラインくだり」などで知られています。
リューデスハイム、というフランクフルトから少し西に行った可愛らしい街から、ライン川沿いにコブレンツまでの約65kmが世界遺産の登録範囲です。
両岸に約60もの小さな街、40以上もの古城、そして広い葡萄畑が見られるのが特徴です。大規模な葡萄畑は緩やかな斜面に整然と葡萄の木が植えられていますが、岩場を使った葡萄の段々畑もまた美しい景観を織りなしています。
お城好き、葡萄畑好きの私にはたまらない絶景の連続でもあります!
文化的景観
「文化的景観」と聞いて、それって何だろう?とずっと思っていました。
人が作り出した景観のことだったのですねぇ!
例えばこの世界遺産「ライン渓谷中流上部」に於いても、文化的景観が構成遺産となっていて、それはどこまでも広がる葡萄畑だったり、かず多く建てられた古城や、川沿いの街並みが織りなす美しい景観のことなのです。
更に、大自然、もちろんライン川そのものや、ローレライの岩などとの調和もまた素晴らしいのです。
ライン下り
まず、ライン「下り」というからには川を上流から下流に向けての船に乗るのが一般的ですが、「上る」ことも可能です。
もちろん、川の流れに反して移動するので時間は下りより上りの方が時間がかかりますよ!
船に乗る区間は選択肢がたくさんありますが、リューデスハイムからザンクトゴアールズハウゼンまでの片道を1時間45分程下り、ザンクトゴアールハウゼンから電車でフランクフルトに戻るコースがよく利用されています。
世界遺産エリアを全部船で巡りたい、という事でしたら、コブレンツまで乗っても良いですね。シーズンによっては運行していないルートもありますのでご注意ください。
世界遺産を巡る ライン下りの魅力 リューデスハイム 〜 ザンクトゴアールズハウゼン【ドイツ旅】
知っておいた方が良いこと!水位による運行の規制について
一年前の同じ頃、ライン下りをしようと思ったら、雨が少なく水位があまりにも低下してしまい、遊覧船の運行が中止になってしまいました。ですので、今年はリベンジ。
ライン川は一級河川で、川幅もかなり広いため、そんなことがあるなんて!と驚く方は多いでしょう。実は、高水位や低水位で船の運行に影響が出るのは、毎年どのシーズンでも起こり得ることなのです。
特にライン川は、物流の動線としても大変重要な役割を担っています。ライン川はスイスに端を発し、オランダから北海に注ぎますが、その河口は欧州最大の港、ロッテルダムなのです。それがどういう事かというと、スイスやドイツを中心に内陸から港までの物流でライン川は大活躍。
一方、高水位や低水位で船の運行が規制されてしまうと当然物流が優先されます。
物流の場合は、船の積載量が減ってしまうため、運賃を上げることで運行を調整するのが一般的ですが、遊覧船の場合はそうはいきません。
(欧州の物流経験者ですので、この辺りもっと詳しく話したくなってしまいますが・・・)
ですので、予期せず運行が中止になってしまい、予定変更が避けられない事があります。自然の起こすことですからしょうがないのですが、今回は乗れてよかったです!ちなみに、昨年は電車の旅に切り替え、車窓からの眺めを楽しみました。
リューデスハイムの観光について
リューデスハイムは、観光の拠点となるフランクフルトから電車で1時間12分と近いため、ライン下りの前に宿泊しない方も多いのですが、この街の私のおすすめは夜と朝の時間なのです。
「ツグミ横丁」でワインを片手にライブ音楽を楽しむのもよし、ライン川に映る美しい夜景を眺めるもよし、早起きして葡萄畑をジョギングするもよし・・・
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