久保康友さんインタビュー

あなたにとって旅って何?

【第二弾!旅 x 人生が生みだすこと】

久保康友さんは、関西大学第一高等学校を卒業後、松下電器(現パナソニック)での社会人野球を経て、2005年にプロ入りし千葉ロッテマリーンズ、阪神タイガース、横浜DeNAベイスターズで活躍しました。

2017年に引退後、2018年にはアメリカ独立リーグのゲーリー・サウスショア・レイルキャッツでプレーし、海外でのキャリアをスタート。

2023年はドイツ・ハンブルクのStealersに所属し、野球選手としての活躍と同時に、ドイツを中心にヨーロッパ内を旅し、滞在を満喫。

練習の合間にドイツ国内外の世界遺産や大自然、「綺麗な場所」を精力的に巡っていらっしゃいました。

その旅の様子もたくさん写真でご提供頂いていますので一部をご紹介致します。とても素敵な写真ばかりで選ぶのが大変でした〜!

(もっと見たい方は久保さんのInstagramへ @yasutomokubo86

Hamburg Stealersの球場にて(撮影:Keiko)

そして、今回はその久保康友さんの日本帰国直前に改めて直撃独占インタビューをさせて頂きました。

旅人としての久保さんの魅力にフォーカスしたYouTubeライブ・インタビューからちょうど三ヶ月の時間が経ち、彼の旅にどんな進捗があったか、また彼自身にどんな変化があったかをワクワクしながら伺いました。

三ヶ月前(2023年6月のインタビューはこちら)→

ジークマリンゲン城(撮影:久保康友)

ー では前回の続きから。まず旅の定義をしましょう。

ー 旅とは?

久保「人生そのもの!」

ー 同感!

久保「人生の中に旅がある?」

ー 旅の中に人生がある?

久保「そうやねぇ。表現の仕方難しいね。ますます分からなくなる。すればするほど分からなくなるもの。」

ラコツ橋、別名「悪魔の橋」(撮影;久保康友)

ー では、旅とはよく分からないこと!?

久保「あはは。旅は楽しい。」

ー 楽しい。

久保「楽しい。いろんな出会いがあるし、マイナスになることがない。」

ノイシュヴァンシュタイン城(撮影:久保康友)

ドイツ、ベルギー、オランダの3カ国の国境「三国点」で(提供:久保康友)

久保「ただ、そもそも旅をしているという感覚が無い。」

ー それは旅をしていることが日常になっているということ?

久保「ということなんかな?分からん。考えたこともないわ。言われればそうかもしれんし、旅には特別に行くものなのか?」

ー 特別に行くものかも分からないということ?なるほど。

ドナウ川とヴァルハラ神殿(撮影:久保康友)

久保「日常を旅と捉えると、例えば毎日会社に行って帰宅するのも、考え方としては旅と捉えられるかもしれないし。」

ー それは、家を一歩出たら旅、という考え方あると?

久保「家を一歩出るか。難しいな。」

ー 難しい?

久保「辞書引いたら何て書いてあるの?」

ー 家を一歩出たら旅と書いてある。

(正確には、「旅」とは、「異郷や遠方へ出掛けて、見聞を広めたり、休息したりすること」「住む土地を離れて、一時他の土地に行くこと。旅行。古くは必ずしも遠い土地に行くことに限らず、住居を離れることをすべて「たび」と言った。」等とされています。)

久保「家の中ですら旅の一部という捉え方もできるよな。」

ー それは何故?

久保「なんでって言われても!生きてることそのものだからじゃないの?」

ー なるほど!それは面白い。

ニーンハーゲンの『幽霊の森』にて(撮影:久保康友)

世界遺産のヴァルトブルク城(撮影:久保康友)

ー では家の中ではどんな旅ができる?

久保「結局、気づき、やね。気づき。気づきさえ出来れば家の中でもいい。」

ー 家の中では例えばどんな気づきがある?

久保「ショートカットしないことね、頭を。日常にしないこと。」

ー 頭をショートカットしないことというのは?

久保「思考停止状態にならないこと。二階に行くのも何か探しながら考えて行くのと、ただ勝手に身体が動いてるのとは違うから、意識的に、行動を起こす。二階に行くのも。」

久保「食事を作るにしても

ー 食事を作る!?() (久保さんは時々しかお料理されません!)

久保「例えば(苦笑)。それを毎日やっていると、多分ショートカットする。それで頭を使わなくなる。それに欲を感じて頭が悪くなってくるのが分かるから、そこから抜け出さないといけないなぁ、という考えになってくる。それを行動に表す。まぁ、当たり前のことをそれを意識してやっていればそこまでする必要性は無い。」

久保「でも外に行った方が楽しい!」

ー 外に行った方が楽しい?

久保「だっていろんな違う経験と出会いができるからね。難しいなぁ。」

ー では、どんな出会いがいい出会い?

久保「わからん。いい出会いも悪い出会いもそもそも感じたことがないから。悪い出会いってどういうこと?」

ー さぁ。

世界遺産のライン渓谷中流上部を遊覧船でライン下り(撮影:久保康友)

ハンブルクの世界遺産、倉庫街(撮影:久保康友)

久保「基本的に、違う出会いがあるということは良いことやろ?何かしら発見があるし。発見が無かったとしても多分それはスルーしてるから、マイナスになることは絶対にない。」

ー なるほど。

久保「多分嫌なことは自分で何か消化してるんやろ。都合よく。」

ー 嫌なことというのは例えば?

久保「わかんない。覚えてないから。」

久保「何やろね。基本的に新しいことに取り組めば良いことも悪いことも起こるけどね、経験的に。」

久保「多分良いことが起こる印象の方が多いから、何でもやれるんやろね。」

久保「だからその経験がマイナスのイメージの方が残る人は行動に移さなくなっていく。」

ー では、悪いことを覚えていないのは全部いい経験だからということ?

久保「難しいなぁ、それも。それは性質的なものやから。いい経験が全てを忘れさせてくれるのか?」

ー なるほど。

久保「でも何かしら動きたいという欲求が出てくるし、こうした方が楽しいやろうな〜と。」

モンシャウの街(撮影;久保康友)

ー ではどんな旅がいい旅だと思う?

久保「ええっいい旅!?」

ー よりいい旅、というか。

久保「いろんな発見があるということ。自分の中に無いこと、無い人、無い考え、無い文化、無い歴史。というのが、理解できないことを理解した、もしくは理解できて理解した。存在そのものを知らないことが一番もったいないような。知ってしまった後に、思う。」

世界自然遺産のワッデン海に浮かぶ島ノイヴェルクにて(撮影:久保康友)

ドイツ最大の島、リューゲン島にて(提供:久保康友)

久保「ということは、いま現在知らないことがあるというのは、もったいないような気がするから、何でもいいから知りに行きたい。それは、過去の経験で楽しかったから。」

久保「いや〜難しいね!そういうの、言葉で説明できないな!旅とは、言葉で説明できないものである。体感的に、こっちの方がいいと思って行くもので。」

ー 旅に出たいと思うのはどんな時?

久保「旅に出たい?!旅に出る?!なんやろね。」

ー 常に旅に出ているから、旅に出るという感覚がないとか?

久保「この生活してる時はずっとそうやね。まぁ、ずっと野球してたら、その生活には飽きてくるよね。そうなったら、どっか行きたい!ってなるし。」

デンマーク・オデンローで滞在したグランピング場の鴨(撮影:久保康友)

ー それは引退してからもそう?

久保「いや、引退してからは、もう完全にどっか行きたい。」

久保「現役中は、我慢しまくってたから、とりあえずそれを解放して、ぴこーんってアンテナが光った通りに全てやれる解放感。」

ー 現役の時も旅に出たかった?

久保「そりゃぁ行きたいよ!!ずっと我慢してたんだから!怪我するからしない。」

ー そういうこと。

久保「そう、だからスキーもスノボもしない。釣りもしない。海遊びもしない。全て怪我する可能性があるから。」

久保「それを無理やり自分で抑えつけて。期間限定やからって自分に言い聞かせて。」

引き潮中に世界自然遺産のワッデン海をノイヴェルク島まで約10km歩いて渡る(撮影:Keiko)

ザルツヴェーデルにあるバウムクーヘン発祥のカフェHennigにて(提供:久保康友)

ー だからその反動で?

久保「そうそうそう。」

久保「ただ、その反動が収まるまでしようと思ってたけど、収まらないんだよね、楽しいから。それは反動なのか、本質的なのかそれすらも分からん。」

ー 衝動が収まると思っていた?

久保「そう。今だけだろうと思ってた。つまり、禁止されているからこそ、やりたいものなのかなと思っていたから。」

(ザクセンスイスにて。動画提供:久保康友)

 

久保「で、やってみると、あれっ?って。」

ー その衝動が収まったら何をしようと思っていた?

久保「いや〜何やろね?その間に何かやりたいことが見つかるかもしれないし、別に需要のあるものでもいいし。」

ー 流されて生きようと思っていた?

久保「そう、流されてもいいかなと。だって流されてもいいと本人が思ってるんやから。」

久保「流されちゃいかん!と思うんやったらそう生きればいいし。どっちでもいいし。自分の意思が向く方向でいい、っていまだに思ってるし。」

世界遺産のヴュルツブルク司教館、皇帝の間(撮影:久保康友)

ー でもやっぱり自分がしたい事をしたいのでは?

久保「そうそうそう!したいことがあればね!」

久保「それがやったことがないことやから、とりあえず、興味のあることはやる、引き続き。何でもかんでも。」

久保「いままでせっかく我慢してきたわけやから。」

エリカ街道の中で最も有名な景勝地トーテングルント(撮影:久保康友)

ー ハンブルクに来て一番良かったことは?

久保「ええ〜何やろ!いろんなところに連れて行ってもらったこと。あと、やっぱり、仕事でしてた野球と違って、本当に楽しい子どもの頃慣れ親しんでた野球の延長で野球をできてるのが凄く楽しい。そうすると、野球って凄く楽しいし、楽しいスポーツやなって思う。」

ー 子どもの頃は野球が楽しかった?

久保「うん、そうやね、ある程度は。あ、今の息子と一緒やな、楽しいけど練習そんなにいっぱいしたくない()

ホーエンツォレルン城の朝焼け(撮影:久保康友)

久保「自分らでやりたい、とやかく大人が入ってきて、こうやったら上手くなる、とか、やいやい言われるのが凄い嫌いやったから。だから今の子どもらの気持ちよく分かるよ、自分もそうやったから。」

ー では、敢えて今回行ったところで一番良かったところは?

久保「え〜なんやそれ!一番とか無いやろ!」

ー では特に印象に残ったところは?

久保「そんなん、無理や!」

ー 全部良かった?

久保「もちろん!!!」

以前のインタビューでも話してくれた通り、ハンブルクに来て野球を心から楽しむことを思い出したという久保康友さん。それだけでもハンブルクに「旅」をしてきて良かったと思ってもらえたかもしれない。

さらに、半年の滞在中に世界遺産や綺麗な景色を求めて旅を続け、ドイツだけでなくオランダ、ベルギー、ポーランド、オーストリア、フランス、そしてデンマークと周辺諸国にも足を延ばした彼は、旅に野球に、そして現地での生活にと全ての瞬間を思い切り楽しんだのではないだろうか。

引き続き、良い旅を! Gute Reise

ワッデン海に浮かぶ島ノイヴェルクの朝(撮影:Keiko)

  • プロフィール

名前: 久保康友

出身:奈良県橿原(かしはら)

誕生日;198086

職業: 野球選手(投手、右投げ右打ち)

経歴:関西大学第一高等学校を卒業後、松下電器に入社。その後2005年にプロ入りし千葉ロッテマリーンズ、阪神タイガース、横浜DeNAベイスターズを経て2017年に引退。

2018年にアメリカ独立リーグのゲーリー・サウスショア・レイルキャッツを皮切りに海外でのキャリアをスタート。

20233月から9月までドイツ・ハンブルクのStealersに所属。野球選手として活躍しながら、旅行や異文化に触れる生活を満喫。6ヶ月の滞在中に訪れたドイツの世界遺産は30ヶ所。文化遺産27ヶ所に加え、3ヶ所ある自然遺産は全て訪れた。ドイツにある世界遺産は2023年夏時点では51ヶ所。もうコンプリートする日も近いかも!?

ドイツ最高峰ツークシュピッツェに登頂(撮影:Keiko)

◯Hamburg Stealers TV のインタビューはこちら。

(『Big Interview』にはKeikoも通訳として登場)

Hamburg Stealers の監督Davidが久保さんを語るインタビューはこちら。

(インタビュアーKeiko)

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