ハンブルクっ子に愛される教会「ミヒェル」と不運続きの歴史を紐解く
「ミヒェル」こと聖ミヒャエリズ教会はハンブルクで最も美しいと言われている主教会。
ハンブルクのランドマークとして、観光客を惹きつけて離さない場所でもある。
そして、教会が現在の姿になるまでの歴史は不運続きだったことでも知られている・・・。
そんな不運があるからこそハンブルクの住民から愛されてやまないのかもしれないが、この美しいバロック様式のミヒェルの抱えている歴史を少し紐解いてみたいと思った。

約350年に渡る災難!
北ドイツで最も重要なバロック教会建築とも言われるくらい素晴らしいミヒェルはハンブルクに五つあるメインチャーチの一つ。
1661年に聖別されて以来、2016年に現在の姿となるまで落雷、火災、故障などで不運の歴史を辿ってきた。
以下、その略歴をメモがわりに書いておきたい。
参考文献:Hamburg ganz schön und pliesch - Die Hansestadt in 100 Stichworten, 著:Edgar S.Hase, 出版社:Ellert&Richter Verlag
参考:ミヒェルのホームページ

略歴
◎1661年 聖別
◎1750年3月10日午前11時ごろ 季節外れの落雷が塔の根元を直撃。基礎の壁以外は消失。
◎1762年 建築家エルンスト・ゲオルク・ゾンニン (Ernst Georg Sonnin) の手により二つ目のミヒェルが完成。
◎1785年 教会の塔を増築。元々塔が屋根の高さしかないデザインだったため、外部からの訪問者による「ハンブルクにはお金がないので教会の塔も建てられない」といった揶揄を危惧してのこと。教会が現在のような形になった。
◎1906年7月3日 ある夏の暑い日、丸天井の修復中だった作業員が使っていたガソリンランプにより出火、教会は再び炎に包まれた。
◎翌日4月7日 市議会がミヒェルの再建を決定。
◎1912年 前述の建築家ゾンニンのデザインに基づいた教会が完成。1785年に増築された132mを誇る塔も再建された。
◎20世紀に入り第一次世界大戦が勃発し、ミヒェルも例に漏れず大砲作りのために教会の鐘が没収されることに。
(実際は「寄進」という形にされた。)
◎1917年までには10個中9個の鐘を失ってしまう。
◎第二次世界大戦時、ミヒェルは爆撃によるダメージを負った。
◎2000年に新たに聖別された「世紀の鐘」(鐘1)
◎2005年秋 鐘の音を収録していた15歳の少年が、Fの音がおかしいと指摘。
鐘の整備業者が確認したところ、なんと半永久的に保つとされていた鐘の一つに30センチ程度のヒビが入っていることが発覚。
◎2016年 遂に全ての鐘が約100年前の状態に戻った。
鐘の音はここで聴けます。
最新!◎2026年3月21日 電気系統のエラーで時間を告げる鐘の音が正しく鳴らないという衝撃のニュースが!なんと・・・
ミヒェルの聖堂をショート動画で!
鐘の墓地 (Glockenfriedhof)
余談かもしれないが、当時、ハンブルクには「鐘の墓地 (Glockenfriedhof)」と呼ばれる場所がフェッデル地区(エルベ川の下流方面、フェッデル、ヴィルヘルムスブルク、ポイテの三つの島からなる。)にあった。
そこにはドイツ中から没収(寄進)された教会の鐘が集められ、溶かされて武器になるのを待っていた。
ミヒェルの鐘も例に漏れず、墓地に葬られたわけだが、戦後回収できたものもあったよう。
戦時中、鐘が許される教会はドイツで二つだけ、という計画だったとか・・・


Lindau, St. Stephen
そういえば、ドイツの南端リンダウに行った際、聖ステファン教会の失われていた鐘をハンブルクの「鐘の墓地」で偶然に見つけたという話を聞いたな。
現在、その鐘は教会の入り口前に展示されている。
ミヒェルと音楽
27メートルの高い天井を誇るミヒェルの聖堂内には五つものオルガンが設置されている。
全てのオルガンのパイプを足すと、実に11000本のパイプがあるとか(すごい!!)
一番大きいのは1962年のバロック様式のもの。

Die Große Orgel
そして、あまり知られていないが、専属の「塔の人」が二人いて300年以上前からトランペットの音色を響かせる伝統が続いているのだとか。
朝10時、お昼の12時、夜21時と一日三度、空の四方向に向かって演奏される。朝と夜の演奏は、これまで戦時中も含めて一日も欠かさず行われているそうで、これは一度は聴いてみたいと思っている。

82メートルの高さを誇る塔の展望台
ミヒェルの塔には幸いにもエレベーターで上れる展望台がある。
といっても最初の数十段は階段なので気をつけたい。
昼間はミヒェルのビジターセンターでチケットを買い、バーコードをスキャンして入る。
(無料で入れる聖堂への入り口とは異なるので注意。)


エレベーターのスピードはかなり速く、あっという間に展望台へ。
ぐるっと一周することができ、ハンブルクを360度満喫できる素晴らしい場所だと思う。
風がかなり強く、15度ほどある比較的暖かい春の日だったけど、塔の上はかなり寒かった。。。
でも特にエルベ川と夕暮れがとても素敵だったし、街の方もぐるっと見渡せる景観は素敵だった。


ちょうど、北ドイツ最大の移動遊園地DOM(ドーム)も来ていて、上から見ると相変わらず大きくて驚いた。
ビートルズも撮影に使った移動遊園地(HANNOVERと書かれたシャシーの上に乗っている写真が有名)は、ビートルズファンにも訪れておきたい場所の一つ!
そしてその奥にはザンクト・パウリのスタジアムがある!パウリ!
試合の直前で、遠くからでもなんとなく緊迫した雰囲気が伝わってきた(?)
スタジアムの右には「緑の防空壕」があって、こちらもとても興味深いの。
最近なんとなくテレビでも騒がれているこちらの建物はについてはまた改めて書きたい。
みんなに愛され、大切にされているミヒェル
たくさんの災難に見舞われてきたミヒェルは、それでも多くの寄付により災難にあってもきちんと修復され、地元の人に愛され続けてきた。
港町ハンブルクでたくさんの船乗りさんたちの安全祈願もされ、彼らの心の拠り所ともなっているようだ。
バロック協会には珍しく、入り口には素敵なステンドグラスで海運業の様子が描かれているのも特徴かなと思う。
以前は聖堂内に船の模型や救命道具が展示されていたけど、一時的なものだったのかな?


ちなみに、1960年代前半にハンブルクで下積み修行をしていたザ・ビートルズのジョン・レノンは、最初のパートナー、シンシアと共によくミヒェルに訪れていたことも知られている。
現在は年間約100万人が訪れるそうで、いつ行っても世界中からの訪問者に出会う。
ハンブルクを訪れるなら必ず行っておきたい場所の一つ。

