語り継ぎたい物語が溢れる街、ゲルリッツ (Görlitz)
ゲルリッツといえば?
私の頭の中にまず思い浮かぶのは2014年のコメディ映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の素敵なシーン。
たくさんの映画の舞台になってきたゲルリッツ。『Görliwood』なんて造語もあるとか!?
もちろん街の魅力はそれだけではない。
約4000保護対象の建物があったり、ナイセ川に架かる橋を渡ったらそこはポーランドの街Zgorzelecだったり。
(第二次世界大戦後にナイセ川が国境線になった。)
そして超有名なサンダルメーカー、ビルケンストック(Birkenstock)の最大の製造拠点があるのもゲルリッツ。
今回は街の公認ガイドさんと2時間ほどみっちり街歩きしてきたので、この街の良いところをたくさん体験することができた。


太い塔(Dickerturm)とマーケット
私が訪れた時はちょうどマーケットが出ていて、野菜や果物も豊富だが特にお花たちがカラフルで素敵だと思った。
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』のホテルのセットが組まれていた旧デパートから歩いてすぐ。
デパートは現在閉鎖されていて、時々ツアーで中を見学できる。
Kaufhaus、これが噂の旧デパート、『グランド・ブダペスト・ホテル』の内部セットが組まれた場所。
見学できる日は不定期に張り出されるみたい・・・
ショーウィンドーにはあたかも営業中のデパートであるかのように服飾や家具などの展示がされいてるが、それは近所のお店のものだそう。
平日の8時から14時の間にここに電話すると内部見学ツアー予定の確認と予約ができるらしい。
ドイツ49(0)172-1588131
今回は手違いにより見学できなかったので、次回は自分でしっかり予約していこう!
入りたかった・・・(涙)


ブリューダー通り(Brüderstraße)
ゲルリッツのメインストリート、オーパーマルクトから続く通り。
カラフルな街並みが続き、かつてヴィア・レギアと呼ばれる流通ルートでもあったため、豪華な建物が多い。
街は14から15世紀ごろから主に塩と染料の取引で発展した。
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』では主人公のゼロが新聞を購入するキオスクが真ん中に立っている事を想像して欲しい。

市庁舎(Rathaus)
街の中心にあり、ツアーで塔に上れる。
悪天候の場合はツアーがキャンセルされることがあるので、階段横に看板が出ているか確認しよう!
私は午後に雨が降ったため滑りやすいということで上れなかった。
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』ではパート2の冒頭で主人公のゼロが麓の街ズブロフカで新聞を購入した後、ホテルのある山の上に上るフニクラ乗り場はこの階段の右横。
フィッシャー通り(Fischerstraße)
フランチスカーナー教会の塔を望む綺麗な路地で、人通りは少ない。
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』ではお菓子屋さんのMendlがある場所で、アガサがデリバリーの自転車に乗っているシーンなどが撮影された。
お店は右奥の黄色の建物で、映画の中ではピンク色になっていた。
(ショップの中は、ドレスデンの美しい牛乳屋さんモルケライ・ゲブリューダー・プフントで撮影。)


ライヒェンバッハ塔からの眺め(Aussicht aus dem Reichenbacherturm)
オーパーマルクトの全体を見渡せる展望台。
外には出られないので窓のガラス越しの景色を堪能。
神聖ローマ帝国が解体し、ゲルリッツも属するオーパーラウジッツはプロイセン王国となった。
その頃、19世紀に建てられた建物も多く、プロイセン風の独特な歴史回帰主義建築が美しい。
ハレンハウス(Hallenhaus)
ゲルリッツに約32残っている、いわゆる商館の豪華版。
扉の装飾でどんな人が住んでいたのか分かることや、両端に腰掛ける場所が設けられているのが特徴。
街に32残るハレンハウス(Hallenhaus)と呼ばれる昔の商館のうち約20の建物が近々UNESCOの暫定リストに載るかもしれないそう。
扉の両端に作業中に腰掛けて休める場所があり、今でも腰掛けてコーヒーを飲んでいる人の姿を見かける。
この家はとても裕福な商人の家で、特に私の真上にある女性の胸像は富と美の象徴として髪を下ろしているのが特徴。

フランツィスカーナー派の教会と噴水
噴水は神聖ローマ帝国が解体後にプロイセン王国の管轄となったゲルリッツが、それまで属していたザクセン公国に対するブラックジョークになってい流。
中央の像はザクセンの方向にお尻を向けていて、当時のスカートのような男性服の下からお尻を覗けるようになっている。
その下の犬は舌を出していて・・・つまり・・・英語だとKMA、ドイツ語だとLMaA。日本語だと?


シナゴーグ(Synagoge)
豪華な祭壇と天井。
下が男性、上が女性が座ったそうで、ツアーで上の席に入れてもらうことができる。
子孫を残すことができる女性が上、という事だったらしい。
この大きなホール以外に、今でも使われている小さなお祈りの部屋がある。

バロックハウスの中にある美しい図書館
中に入ることはできないが、入り口から写真を撮ることができる、人気のフォトスポットでもある。
でも撮るのがとても難しい!
ナイス通り(Neißstraße)にあり、プロイセン風の歴史回帰主義の建物が多い中でバロックの装飾が目立つ。
1726年に建設された。
子どもの頃は図書館が好きでよく行っていたけど、図書館を「美しい」なんて思う日が来るとは思わなかった。
この木造アーチの感じが柔らかくていいね!
ずっと眺めていると、真ん中に置いてある大きな本に吸い込まれてしまいそうな感覚に陥る。
アリスと一緒に不思議の国に行けるかな。。。
(何の本だろう?ガイドさんによると、真ん中の本は定期的に変わるということだった!)

聖ペーター教会 (Peterskirche)
ロマネスク様式で建築され、その後15世紀にゴシック様式に拡張された五廊式の聖堂を持つ。
18世紀にはバロック化され、教会の塔もバロック様式に改築されたとか。
しかし19世紀に入り歴史懐古主義の影響も受けてバロック様式の塔は取り壊され、ネオ・ゴシック様式の双塔が新築された。
この双塔が真っ白で凄いの!
聖ペーター教会 (Peterskirche)
なぜ真っ白なのか、公認ガイドさんに聞いたところ、とても興味深いお話をしてくれた。
教会の大部分は砂岩で作られ、砂岩というのは年月とともに微生物に侵食され黒ずんでくる。
しかし19世紀に作られた塔が真っ白なままなんて信じられない!
その答えは建材にあったの。
何と、この真っ白な双塔は白いレンガで作られているとのこと!
マジで!?
白いレンガなんて初めて見たかもしれない。
しかもこんなに綺麗な白なんて!?
そんなわけで、この双塔はずっと白いままなのだそう。
夕暮れの時間がおすすめよ!


聖ペーター教会 (Peterskirche)の太陽のオルガン(Sonnenorgel)
『Sonnenorgel(太陽のオルガン)』 バロック、ミントグリーンが素敵で、17の太陽のモチーフがあしらわれている
響きが特別なものになるように計算され尽くしている。
イタリアに移住した地元のオルガン職人Johan Casper(当時既に73、カスパリーニと改名) と息子をアサインし制作された。
今回は12時から45分ほどのオルガンのプレゼンテーションに参加させて頂き、8曲の素敵な演奏を堪能した。
演奏後も余韻が7秒も響くんだって・・・神々しいって言うのはこのこと!
<オルガンのサイズ>
一番長いパイプ7,82 m 350kg、一番短いパイプは何と6mm 15g、大きさ10mx14m、全体の重さは23トン。
ところで、渋滞に巻き込まれてゲルリッツ到着が遅れてしまったのでオルガンのプレゼンぎりぎりに駆け込んだ私。
街外れの駐車場に車を停め、車に積んできた自転車で猛ダッシュ・・・(汗)。
お手洗いに行く時間もなかったので教会の方にお手洗いはありますか、と訊いたところ・・・
「なぜ教会にトイレがないのか知ってる?あったらずっと教会に住み着いちゃう人がいるから(笑)」
と言うわけで向かいのホテルでお借りしました(余談)。

十数年前に初めてゲルリッツを訪れた際に感動した景観。
聖ペーター教会のある高台から国境のナイセ川を見下ろし、ポーランド側を望む。
今回またこの景色を見られて嬉しかった!
最後にグルメのお話を。
この地域一番のグルメはビール。
1869年から続く伝統的な製法でビールを醸造しているブルワリーLandskronは見学もできる。
シレジア地方やオーパーラウジッツ地方の伝統料理と一緒にビールも楽しみたいところ。
今回の滞在では事情によりゆっくり食事をすることができなかったので、詳しいグルメのお話は次回に持ち越しとさせて頂きたい。

壁には著名人の方たちのサインがたくさん。
ウェス・アンダーソン監督のところをアップで!
今回どうしても行きたかったのがここ、Przy Jakubie。
『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督を始め、スタッフや役者の方たちが通っていたというポーランド側の小さなレストラン。
写真を撮りながら街をジョギングしていたら行くのが遅くなってしまい・・・20時に行ったら既にキッチンクローズ。
ご飯を食べたい場合は早めに行きましょうね。
今回はドリンクのみなら、ということだったので白ワインの炭酸割りと、お願いしてりんごケーキも出してもらった。

<次回の課題>
・『グランド・ブダペスト・ホテル』のホテル内部が撮影された旧デパートのツアー日程を確認、予約の上で訪問すること。
・市庁舎の塔に上ること。(これは天候に左右されるようなので運に任せるしかない。)
・Przy Jakubieでご飯を食べること。
かな。1泊だとちょっと足りなかったから、もっとゆっくりしてもいいかも。
ここはクリスマスマーケットも素敵なので、冬にまた行こうかな!
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